世界一幸せな国のある家族
ユ「もう、ローナが明日部屋でチェスでもって言うから来たのに……っ!!全然構ってくれないじゃん!!…………たいだよ」
背中でユアンがぷりぷりと年相応に怒っているのが分かる。
「ごめんって……!あと少しなの。30分後にはチェスも出来る」
ユ「はぁ!?30分?なら、したいことあるから俺それぐらいの時間にもう一回来ていい!?」
勢いよく立ち上がり、私が返事もする前にユアンは出ていってしまった。
「……ごめん、ユアン」
小さな声で呟いたが、きっとユアンには伝わっていないだろう。
30分。
30分で終わらせる。
これと、もう1つ。
次はきっとラッピングにも慣れている。
集中するんだ、私。
1度背中を伸ばし、喝を入れ直してからまた向き合った。
ユアンは、ちゃんと30分後には来てくれるのだろうか。
怒っているようだったし……
私が怒らせてしまった。
たとえ来てくれなかったとしても、私がユアンの元へ持って行かなきゃ。
初めてのバレンタイン。
いろんなことを既に失敗したけど、最後ぐらい、自力で成功させるんだ。