人間消去サイト2
それぞれの過去~未夢編~
『未夢の過去』 未夢side
「オラッ!何ぼさっとしてんだよ!!」
「キャ!」
お母さんが、お父さんに叩かれている。
私は、部屋の隅で耳を塞ぎながらその光景を見ていた。
私の名前は、小宮 三四(こみやみよ)。
近くの小学校に通う小学2年生。
でも、私は学校にあまり行っていなかった。
お父さんが、病気だと嘘をついて行かせなかったのだ。
(しーちゃんに会いたいなぁ。)
しーちゃんは、同じクラスの女の子。
いつも遊んでくれたり、お絵描きしたりする友達。
私は、しーちゃんを思い出しながらずっと耐えていた。
「チッ!トロくせーからそんなことになんだよ。」
お父さんがどこかに行ってしまうと、お母さんのすすり泣く声が聞こえた。
殴られた跡。蹴られた跡。
部屋に充満する煙草とお酒の匂い。
床には、割れたコップの破片が飛び散っていた。
「お母さん・・・・・・。」
私が片付けようとすると、お母さんが止めた。
「大丈夫。ママがやるから。ごめんね。三四。」
そう言うと、お母さんはまた泣き出した。
お母さんを毎日のように泣かせるお父さんが許せなかった。
(もう、こんな生活ヤダな・・・・・・。)
その数週間後、お父さんが死んだ。
原因は、お母さんがお酒の中に入れた毒薬だった。
そして、私たちは逃げるように遠くの町へ引っ越した。
ここからまた、地獄の生活が始まることを私はまだ知らなかった。