剛力家の三兄弟

禎憲 side

「真由美……」

隣で寝ている筈の綺麗な躰を、まだ半分寝たままで探る。
だが、その手に当たるそれらしき躰は無く、寧ろ、シーツの冷たさを感じる。
朝早く起きるのが苦手な俺は、何時もならまだ寝てる時間だが、ベットを抜け出し真奈美を探す。

“どれだけ惚れてるんだ？” と思いながらも、探さずにはいられない。
なぜなら、うちには俺と同じ顔の狼が、他に二人も居るからだ。

キッチンで、真奈美の姿を見てホッとすると同時に、再びベットへ連れ戻したい気持ちになる。

「おはよう」
朝の挨拶がてら、真奈美の腰へ手を回す。

「おはよう。今日は早いね？」
食事の支度で忙しいのか、俺の顔さえ見てくれない事に寂しさを感じる。

「ん…まだ眠い」

「じゃ、まだ少し寝て来たら？」

少し甘えてみるが、軽くあしらわれてしまった。

「真奈美も一緒が良い」
（ガキじゃあるまいし、いい歳をして我ながら恥ずかしい）

食事の支度があると言う真奈美に抱きつき、首元へキスするが、拒まれてしまう。
すぐ隣に、美代子さんが居るのだから、当たり前だろうが、少しくらい俺の顔を見ろと言いたい。

「真奈美？」

「起きたなら、いい加減着替えて来て下さい！」

「ちぇっ！
仕方ない。一人寂しくシャワー浴びてくるか？」

離れを建てる際は、これは図面の段階から、俺もチャック入れないとなぁ？
風呂は勿論だが、キッチンも別が良いしなぁ。
キッチンが別なら、真奈美の裸にエプロン姿も有りだしな？
でも、キッチンを別にする事は、きっと真奈美は、反対するだろうし、そこをどう説得するかだよな？

自分の欲望を、どう満たすかを考えながら、禎憲は風呂場へと向かった。