剛力家の三兄弟
第5章 3ヶ月の先にある物は?
なんであの三兄弟は何も言わないの?
37って言ったら、いい歳じゃん?
もうおじさんの類いでしょ!
何やってるの!
バカなの?
あの歳になっても、親の言いなりになって、自分っていうものを持っていないの!?
自室である奥座敷で、布団の上に転がって居ても、怒りが収まらず、全然眠気がこない。
あ゛もー腹立つ!
全然眠れない!
喉の渇きを覚え、水を飲みに台所へ向かうと、先客が居た。
誰?
びっくりした…憲剛さんか…
「憲剛さん…何してるんですか?」
「ああ、呼び出しがあって、出かけるところだ」
「えっ今からですか?こんな時間に?」
「俺達刑事には、時間なんて関係ない。事件が起きれば出動する」
そっか…刑事さんも大変だ?
「で、何してるんですか?」
「眠気覚ましに、コーヒーを持って行こうと思ってな?確かこの辺に水筒が…」
「水筒なら、ここです。私がやりますよ?」
急いでるであろう憲剛に代わり、多少なり、台所の内を知ってる自分がやった方が早いと真奈美は思った。
「気にしなくて良いから?」
「え?」
「親父達が言ったこと。結婚する気のない俺達に、業を煮やして、苦肉の策に出ただけだから、悪い様にはならない安心しろ」
憲剛はそう言うと、真奈美の淹れたコーヒーを持って出かけて行った。