カラフル
Q
「え、篠上さんが一緒に住んでる彼ってニートなんですか?」
「うん」
どうやらディスペンサーに入っている洗剤は特殊なものらしく、粘着テープの跡も油のシミもよく取れた。
「なんかいい仕事ないかな? 紹介してよ、氷野ちゃん」
「紹介して欲しいのはこっちですよう。」
「え!」
「私ももっと、お給料がよくて手が荒れなくて、お休みの多い仕事がいいですぅ」
「ひ、氷野ちゃん、ここ辞めようとしてる? こ、困るよ!」
洗った雑巾を絞り、ぱんぱん太ももに叩きつけたわたしは焦って声を震わせる。
対していくつも年下である氷野ちゃんは、余裕っぽくスルーして緩慢な動きでモップをかけている。
「長続きする人少ないですもんねーこのバイト」
他人事のように言って、氷野ちゃんは遠い目をした。
「うん、わたしなんてまだ始めて半年なのにもう古株だよ」
「私はなんとかその篠上さんのような状況は回避したいですぅ」
まるで永遠に同じ動きをするロボットみたいに手だけを惰性で動かして、氷野ちゃんは飄々と言った。
勘弁してくれ、とわたしは心のなかで思う。
氷野ちゃんの働きっぷりだけではなく、これ以上人不足でシフトを増やされるのを、だ。転勤や進学で新生活が始まる今の時期、とても忙しい。
「え、篠上さんが一緒に住んでる彼ってニートなんですか?」
「うん」
どうやらディスペンサーに入っている洗剤は特殊なものらしく、粘着テープの跡も油のシミもよく取れた。
「なんかいい仕事ないかな? 紹介してよ、氷野ちゃん」
「紹介して欲しいのはこっちですよう。」
「え!」
「私ももっと、お給料がよくて手が荒れなくて、お休みの多い仕事がいいですぅ」
「ひ、氷野ちゃん、ここ辞めようとしてる? こ、困るよ!」
洗った雑巾を絞り、ぱんぱん太ももに叩きつけたわたしは焦って声を震わせる。
対していくつも年下である氷野ちゃんは、余裕っぽくスルーして緩慢な動きでモップをかけている。
「長続きする人少ないですもんねーこのバイト」
他人事のように言って、氷野ちゃんは遠い目をした。
「うん、わたしなんてまだ始めて半年なのにもう古株だよ」
「私はなんとかその篠上さんのような状況は回避したいですぅ」
まるで永遠に同じ動きをするロボットみたいに手だけを惰性で動かして、氷野ちゃんは飄々と言った。
勘弁してくれ、とわたしは心のなかで思う。
氷野ちゃんの働きっぷりだけではなく、これ以上人不足でシフトを増やされるのを、だ。転勤や進学で新生活が始まる今の時期、とても忙しい。