わたしを光へ。
加賀くんは私の首元に唇を寄せた。
「これで暫く彼氏と近付けないね」
この人は、洸の存在も知っているのか。
不意に、何も考えないようにしてこの時間をやり過ごそうとしていた私の視界に彼の顔が近付いて来るのが分かった。
私は顔を横に逸らす。
自分の手が微かに震えていることに気付いた。
「美月、酷いことしないから。怖がらないで」
彼は私の頬を両手で包み、彼の正面を向かせた。
顔が、近付いてくる。
もうこの人には逆らえない、そう悟った。
唇が触れ、息をするのが苦しいくらい長く続く。
やっと離れた顔の顔は、少し余裕が無さそうだった。