わたしを光へ。
その手を洸が優しく包み込む。
「美月、俺の目を見て」
その声に、ぎこちなく顔を上げる。
「美月、俺は誰?」
見つめる彼の目には、私を非難する様子は一ミリも見られない。
何度も名前を呼び、確認させる。
目の前にいるのは誰かと。
「洸…、相澤、洸」
何も聞かず、何も追求せず、私の不安を感じ取る。
だから苦しい。余計に、無性に、泣きたくなるの。
「そうだよ美月。俺のこと、信じられるよな?」
今度は大きな体ですっぽりと抱き締められる。
洸の体温が、冷えた私の体を温める様だった。
お互いに、返事など欲していなかった。