わたしを光へ。
「やっと来たね。美月」
少し妖しげな繁華街の一店に加賀くんは待っていた。
「なに、そのかわいい子、秀人の彼女?」
どうやら此処は彼の行きつけらしく、店員と仲が良かった。
「んーん。彼女じゃないよ」
そう。私たちの関係に名前なんてない。いっそ、関係だって断ち切りたいのに。
「あー、そゆこと?いいねえ、やっぱモテるね、そりゃあ秀人とは関係持ちたいよなぁ」
その口振りに疑問を持った私が、店員の方を見ると、続けて言う。
「アンタだって知って近づいたんだろ?こいつが、」
そう、言いかけた時。
店員がその続きを言うのを止めたほど、体の底から冷える低い声で加賀くんが口を挟んだ。