わたしを光へ。


「おい。それ以上言ったら、分かってんだろうな」



その一言で、店員は可哀そうなくらい震えて、彼に許しを乞うていた。



今、きっと私は彼の裏側を見てしまった。



彼は私の方を向き、目を合わせた。



「此処出ようか」



もう既に、先ほどの怖い加賀くんではない。



だけど、それが余計に怖かった。いつ加賀くんのあの激情がまた出てくるか分からない。



明らかにあの店員は加賀くんよりも年上だったのに、あんなに怯えていた。



「美月、今日は何してたの?」



彼が一体何者なのか。



「他の男に触られた?」



私は知っているのは、彼の名前だけ。


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