わたしを光へ。
一度燻ぶった炎は簡単には消えない。
彼の激情は静かに燃え続けていた。
優しさなんて欠片もない。ただ自分の欲望を満たすだけの荒い口付け。
唇を噛まれて、歯と歯がぶつかって、どちらのか分からない血の味が感じられた。
唇が離れたころには、彼は平静を取り戻していたけど、今度は私が何も考えられなくなっていた。
彼の激情にやられてしまったのかもしれない。
「ごめん、傷付けちゃった」
彼は親指で私の唇を拭う。そう言う彼の唇にも、傷が出来ていた。
「加賀くん」
彼といる時、私は殆ど離さない。いつも彼にされるがままだった。
殆ど初めて話しかけた私に、彼は目線を合わせた。