わたしを光へ。

だけどそのうちそれは当たり前になって、


美月は賢くて当然、優秀で当然。お姉ちゃんなんだからって。


最初のころは、それは私に期待をしてくれているからだと思っていた。


でも、気付いたんだ。


私は、『お姉ちゃん』だからそれが求められているだけなんだって。


花那を妬んだことなんてない。


花那は誰よりも可愛くて、愛されるべき存在で。


だけど気付けば、花那の姉の美月で在ろうとしているうちに、私は私を見失った。


演じるしか、なくなった。


美月を。


美月で在るために。感情の出し方も忘れ、己を押し殺し。


良い子でいればきっと、報われるでしょう…?


< 16 / 301 >

この作品をシェア

pagetop