わたしを光へ。
「とりあえず座って下さい。それで、彼女が白鳳の姫になった櫻木美月です」
洸が私を紹介するけど、さっきから脳裏に加賀くんの影がチラついて、頭なんて働かない。
それでも必死に言葉を紡ぎ出す。
挨拶のあと、一礼して顔を上げて無意識に見た加賀くんは、ジッとこちらを見ていた。
思わずすぐに逸らしてしまう。
どんな怖い顔をしていても、もう見れない。
隣には洸がいるし、他の族の人たちが自己紹介をしてくれているしで、私はどういう顔をしていればいいか分からなかった。
顔面蒼白の美月は、洸にはもしかしたら何か思われていたかもしれない。
だけど殆どの人が初対面のこの場では、美月に違和感を覚える人は居なかった。