わたしを光へ。
美月の温もりを感じながら、もう二度とこの手を離したくないと思った。
おそらく数分しか経っていない時間が、何時間にも感じられた頃。
ポケットにある美月のスマホが着信を知らせて震えた。
「花那からだ」
そう断って電話をし始める。
少し俺から離れた美月は、いつもよりやつれて見えた。
それでも花那ちゃんと話している美月の声色はいつもと寸分の違いも感じさせない。
どこまでもストイックな美月。
「ごめん、花那に呼ばれた。行かなきゃ」
ごめんと言いながらも、早々に帰る支度を始める。
正直、今の美月を離したくない。
やっとの思いで、俺への信頼を少しだけ取り戻せたのに。