わたしを光へ。
「貴方のところになんて、行かない」
「…そんな瞳で見るのは、逆効果だよ」
決して堕ちない気高い美月の魂は、相澤や加賀といった類の男に酷く刺さる。
あの頃、月に向かって泣いていたころとは違う、洸と出会い人に愛され覚えた新たな美しさ。
相澤がその美月を開花させたのは不服ながら加賀はその美しさに震え上がる思いだった。
堪らず加賀は美月に口付ける。
「ねえ美月、ここの傷治っちゃったね」
目の前にいる男と同じ場所にあった、唇の傷。
何が楽しいのか笑みを浮かべて、親指でそれをなぞる。
「美月は必ず俺のところに戻ってくる」
自信たっぷりにそう言い放つ。