わたしを光へ。
その中でも聞こえる、櫻木さんだ、という声。
二年生の生徒会役員は私と石川くんの二名しかおらず、さすがに学年には名前が知られている。
そして職員室に入ると、悪いな、と担任が。
「クラス委員が捕まらなくてよ。これ明日までにまとめておいてくれるか?」
先生の机に置かれてあったのは、来週行われる生徒会選挙のプリント。
その量は一クラス分といえどかなり多くて、とても一人では出来そうにない。
だけど私はこれを断れるほど器用には出来ていないので、いつもの笑顔で承諾してしまうのだ。
八方美人と言えば、そうなのだろう。
だけどそれが悪いことだとも思わない。
作った笑顔で、良い子でいれば何事もなく生活していける。
むしろ私はこの生き方しか知らないから。
私はプリントを受け取って、教室に戻り早速作業を始める。
手伝おうかと声をかけてくれた子もいたけど、丁重にお断りした。