わたしを光へ。
「洸さん、赤黎の総長が来てるんですけど…」
そう言いながら入ってきた下っ端を二人同時に見上げる。
この間の集会からそんなに経っていない。
一体どんな用があって来たのだろうか。
下っ端に連れて来られた彼は、あのときとは少し雰囲気が違って見えた。
「どうも、急に来てしまってすみません」
「それは構わないけど、何か問題が?」
加賀は形の良い唇を綺麗に上げて、微笑んだ。
「少し相澤と話したいと思って」
その様子からは何の感情も窺うことが出来ない。
族関連以外のことで、俺たちが話す話題なんてあっただろうか。