わたしを光へ。
「美月?おい美月!」
美月はゾッとするような空虚な瞳を浮かべていた。
「洸は、何か言ってた?」
そんな美月の様子に怯みながらも、氷室は答える。
「いや…、俺が駆けつけたときにはもうソイツが帰るところで。洸はただ黙っててくれって」
尋常でない美月の様子に氷室は声をかけることすら躊躇われる。
「大丈夫かよ。一体何が…」
氷室の目を一瞬見た美月は、ごめんねと呟いた。
ごめんなんて聞きたくないのに、氷室は美月の背中に手を伸ばすことしか出来なかった。