わたしを光へ。
◇◇
加賀くんが付けた唇の傷は、目立たない程には治った。
彼の目論見は、残念ながら叶わなかったということだ。
もうこの傷が疼くことはない。
思い出すこの感触は、洸が上書きしたものだ。
久しぶりに幹部全員が揃った白鳳は盛り上がっていた。
ただ洸と加賀くんの喧嘩を唯一知っている氷室くんは訝しげな目で私たちを見ていた。
「美月ちゃんなんか変わった?」
古賀くんが言う。
「そうかな?特に何もしてないけど」
「なんか〜、洸と愛が深まったって感じ?」
そう、調子よさそうに笑った。
隣の洸は複雑そうな顔をしていたけど。