わたしを光へ。
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Ⅰ
私と相澤くんが付き合ったという噂は瞬く間に広まった。
生徒会役員で有名な櫻木美月と、端正な顔で学校中で人気の相澤洸。
学年に収まらず全校生徒が知るビックカップルの誕生に、数日が経っても話題はそればかり。
どこを歩いていても顔を見られている気がする。
唯一落ち着ける場所は生徒会室だけだった。
それなりに聞かれはするが、不躾な視線を当てられることはない。
「でも櫻木さんってああいう人が好みだったんだね」
私の隣で作業をしていた石川くんが言う。
それに私が曖昧に微笑んでいると、彼はさらに続けた。
「相澤くん、チャラいじゃん。不良ぶってさ。氷室くんみたいなのと連んでるし」
「石川くん」
石川を見る美月の顔は、恐ろしいほどの無表情。
漆黒の瞳に気圧される。
そんな美月を見て、石川は口を噤んだ。