わたしを光へ。
「美月、久しぶりだね」
甘ったるい声が耳につく。
どうして花那の携帯から加賀くんが電話をかけているの。
余りにも静かなのは、屋内だから?
きっと花那と加賀くんは家にいるんだ、私は走り出した。
家がいつもの何倍も遠く感じる。
走っている間、嫌な想像ばかりが頭を駆け巡った。
やっと家に着くと靴も投げ捨て、階段を駆け上がり花那の部屋を勢いよく開ける。
最初に目に入ったのは、あの日以来の加賀くん。
「花那は何処」
目の前の加賀くんが、ゆっくりとベッドに目を逸らした。
ベッドには膨らみがあった。
急いで駆け寄る。呼吸はしていて、どうやら寝ているだけの様だった。
「…花那に何をしたの」
「そんなに睨まないでよ。俺は何もしていない、ただ真実を話しただけ」