わたしを光へ。




顔にくすぐったさを感じて目が覚めた。


薄く開いた目からは何にもピントが合わなくて、暗い色しか見えない。


だけど段々意識もはっきりしてきて、昨日のことも思い出した。


私は目をパッチリと開けた。


私に横から顔を寄せている誰か。


誰か、なんて加賀くんしか居ないけど。


縛られていた手は既に解かれていた。


視界のほぼ全てを占めている彼は飽きもせずに柔らかく私の唇に口付けていた。


「ん、美月起きた?」


視線を感じ取ったのか、最後に派手にリップ音を落として私から離れる。


「おはよ」


柔らかくハニカミながら隣で寝る私を見つめる。


こんな関係でなければ至極幸せに感じるであろうその瞳。

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