わたしを光へ。

「ん、いい子。じゃあ悪いけど、もう出れる?」


十時、私はやっと加賀くんから解放された。


抵抗しないのを良いことに私の腰に手を回して駅まで送り届ける。


もう少し、もう少しだから彼を欺き通せと自分に言い聞かせ、やっと訪れたその時。


加賀くんは従順になった私と、花那という人質がいるからか、私の唇に触れた後は呆気なく立ち去った。


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