わたしを光へ。

やっぱり私が加賀くんといるのを、あの電話で感じ取ってくれたんだ。


それを聞いて、私はまた歩き出した。


どうなっているか全く見当が付かない家に向かって。


段々と家に近付くと、母の車が見えた。


土曜日だから家に居るみたいだ。


「待って美月、俺が先に見てくる」


門の前で急に言い出す。


どういう意味なのか、私が考えあぐねていると、言いづらそうに続けた。


「念の為、だ。もし花那ちゃんが美月を恨んでいたら…、俺は美月にこれ以上傷付いて欲しくない」


ああ、そういうことか。


少し眉を下げて訴えてくる洸の目を、真っ直ぐ見つめる。


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