わたしを光へ。


それと同時に近くで響く爆音。


尤も、爆風も煙もないから爆弾ではないのだろうけど。


初めて聞くような大きすぎる音に、身体中が危険だと知らせている。


だけど無情にも椅子に縛られている私は逃げることが出来ない。


男は私を椅子ごと持ち上げて、部屋の端に下ろした。


「ここで大人しくしててくれ」


そして男は私を隠す様に立った。


其処彼処から聞こえる怒号。


一体何が、起こっているの。


これは只事じゃない。


それに。


男が相澤くんに電話をかけたということは、此処に来ているのは彼ということ。


怖かった。


彼が何をしているのか、分かってしまうから。


散々、人と人とがぶつかり合うような音が聞こえたと思ったら、それが止んだ。


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