わたしを光へ。
「どうしたのお姉ちゃん、なんか変だよ?」
逆に心配される始末。
「ううん、何でもない。ごめんね」
きっと引きつった笑顔を張り付けて、私たちは花那の部屋を出た。
そしてそのまま私の部屋に入る。
「…花那は、加賀くんの存在自体忘れた、ってこと…?」
誰ともなく呟く。
見ると、洸も険しい顔をしていた。
「分かんないけど、そういうことだよな…」
きっと誰も、想像すらしていなかった。
加賀くんに振られて負った傷が癒えないうちに手荒く、深く、ズタズタに抉られたことによって
脳と心がその存在自体を拒否した。
無理矢理に奥底に閉じ込めて、蓋をして、もう二度と傷付くことが無いように。