わたしを光へ。

そして開けられるこの部屋の扉。


そこに誰がいるのかは、男と重なって見えない。


だけど確かにそこには冷たい空気が漂っていた。


一触即発。


誰かが動けば直ぐに戦いに転じるだろう。


「美月はどこだ」


静かに、だけどこの場にいる人すべてを凍らせるような低く威厳のある声が響いた。


私の前には男がいるから、向こうにいる人には見えていないのだろう。


「お姫様は、ここにいるよ」


男が一歩横にずれ、私の姿が見えたのだろう。


縛られている私の姿に、相澤くんが驚いた顔をして、すぐに怒りでいっぱいになるのが見えた。


扉の前には相澤くんの他に男が四人。


相澤くんの隣には氷室くんの姿もあった。


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