わたしを光へ。
加賀は膝から崩れ落ちて、自棄になったように小さく笑った。
この世界にいる人間は、この世界の人間を敵に回すことがどんなに危険で無謀なことか良く分かっている。
勿論美月を本気で手に入れようと思った時点で覚悟はしていたんだろうけど。
熱い恋情に焼かれて、理屈なんて通らない想いがここまで突き動かした。
気持ちは分からなくもない。
もし俺の立場が一歩違えば、こうなっていたのは自分だったかもしれない。
美月に焦がれて、それなのに手に入らなかったら、なんて考えるだけで身震いがする。
すっかり戦意喪失した様子の加賀を一瞥して、俺たちは赤黎を後にした。