わたしを光へ。


どうして、とか考える暇もなく。


相澤くんが一番近くにいた敵を殴りつけた。


五対五。


人数的に差はないのに、素人目の私から見ても相澤くんたちが圧倒的に優勢だと分かる。


そこにいる相澤くんは、学校にいるときとはまるで似つかない。


敵の攻撃を、優雅な動きで翻して、すぐに攻撃に転じる。


戦いの隙間を縫って、相澤くんの仲間らしき人が私に駆け付けて、紐を解いてくれた。


「どこも怪我してない?」


優しい手つきで私のことを敵から庇うように、背に隠す。


「大丈夫、です」


「良かった。巻き込んでごめんね」


そして一際大きな音がしたと思ったら、あの男が地面に倒れていた。


敵は全員もう戦えるような状態ではない。


それに対して相澤くんたちは殆ど無傷。


それほどまでに、圧倒的。


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