わたしを光へ。


「美月…!」


戦いを終えた相澤くんが私の元へ駆け寄る。


彼は私を抱きしめる寸前で押し止まった。


きっと、彼の服には至る所に血が付いていたから。


だけど、無意識に震えてしまっていた私を見て、肩を抱き寄せ急いでこの建物から連れ出した。


外の空気を吸って、幾らか落ち着いた私。


それを見て彼は少しホッとしたように見えた。


「本当にごめん。無事で良かった…」


私の体に温もりが広まる。


彼は血の付いた上着を脱いで、私を抱きしめた。


それの温もりに私も恐らく、安心した。


私を心配してくれた彼の抱擁は至極安楽だったから。

だけど、彼の仲間の視線に気付き、私は彼の手から離れた。


「あ、俺らのことは気にしなくていいから。続けて続けて」


< 31 / 301 >

この作品をシェア

pagetop