わたしを光へ。
昨日の廃工場よりも大きく、綺麗な建物。
繁華街の奥はおろか、繁華街にすら入ったことがない私は、こんな建物があるなんて当然知らなかった。
建物の周りにはおそらく改造してあるバイクも数台あった。
「中には男たちが沢山いるけど、仲間だから。安心して」
相澤くん、私、氷室くんの順で建物の中に入る。
彼の言った通り、中には大勢の男たちがいた。
彼らは開けられた扉を見て、私たちを認識すると一斉に挨拶をしてきた。
歩くたびに沢山の人に声をかけられる相澤くんと氷室くん。
私と目が合った人もいたけど、ニコッと笑うだけで特に何を話しかけられる訳でもなく。
もしかしたら相澤くんがこの人たちに私のことを伝えていたのかもしれない。