わたしを光へ。
「それで、総長の女は、姫っていう役職に就くんだけど。なってくれるか?」
姫、だなんて。
私はそんなに守られる存在じゃない。
「ごめんなさい」
断られると思っていなかったのか、この場にいる皆んなが少なからず動揺したように見える。
「やっぱり暴走族は怖いか?」
その問いに美月は考える素振りを見せる。
怖くない、とは言わない。
喧嘩とかもやるんだろうし。
だけど正直なところ、よく分からない。
まだ善悪を付けられるほどこの人たちのことも知らない。
私は首を横に振る。
「貴方たちは多分、良い人なんだろうなと思う。私を助けてくれたし。だけどまだ、仲間になるかは決められない」
最後の抗い。
ここですんなり仲間になったら、もう戻れない気がしたから。
私が櫻木美月であることを、手放してしまいそうで。