わたしを光へ。
こんな所で寝ていないで、帰ればいいのに。
詳しく聞いたわけじゃないけど、氷室くんは不良グループに入っていると聞いたことがある。
彼を見れば納得はするけど、ならどうしてこんな学校に来たんだろうなとも思う。
わざわざこんな勉強に厳しい学校に来なくても、もっと自由な学校に行った方が楽だろうに。
それに彼は特進クラス。
彼の中のイメージがバラバラすぎる。
「なあ」
そんなことを考えながら仕事に没頭していると、突然かけられた声。
いつのまにか彼は起きて、私を見ていた。
「なに?」
「お前ってなんでいつもそんな顔なわけ?」
いきなり話しかけてきたかと思えば、どんな失礼な質問よ。
「そんな顔って?」
「それだよ。今のその顔。その、何にも映してないような微笑」
確かに今もわたしは微笑んでいる。
それに対して私が困ったような顔をすると、
「ほんと胡散臭い。お前の笑顔嫌いだわ」
そう言い残して氷室くんは教室から出て行った。