わたしを光へ。

返事がないことを肯定だと受け取ったのか、続けて言う。


「洸って呼んでよ」


彼が歩みを止める。


「呼んでくれないの?」


元より身長差がある私たちは、自然と彼が私を見下ろす。


端正な顔が月明かりに照らされ、やけに魅惑的に映る。


彼は一歩、私に近づく。


私の後頭部に片手を回した。


「呼んでくれないと…、」


「分かったっ、呼ぶから」


本当に狡い男。


きっと私の反応を面白がっている。


自分の前では私が冷静でいられないのを見透かしているんだ。


「…こ、う」


「全く、堪らないな」


そう呟いたあと、私を引き寄せて唇を合わせた。


私の内部を強引に開かせたのに、その行為は酷く優しくて。


この男は依存性が高すぎる。


< 45 / 301 >

この作品をシェア

pagetop