わたしを光へ。


そんなこと言われたって、私はこうすることしか出来ない。


分からない。


そんな素直に生きることが。


それの素晴らしさも。


鬱憤を晴らすようにさっさと仕事を終えた。


校舎を出ると、もう辺りは暗く、部活動をしている生徒の声だけが響いていた。


気分が落ちているんだか、だけど高ぶっているんだか分からない。


なんとなく、駅裏にある繁華街の入り口まで足を運んだ。


入ろうとは思わない。


ここがどんなに危険な所かは分かっている。


だけど時折見聞こえる、自分のやりたいことをやっている人たちに無性に苦しくなった。


見るのをやめようと空を見上げると、満月が光り輝いていた。


美月、とはよく言ったものだ。


私はこんなに美しくない。


月に形容させられるほど輝けない。



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