わたしを光へ。

だけどそれでも俺を受け入れたということは。


美月はもしかしたら壊してほしいのではないか。


仮面を、櫻木美月を。


そうするしかないほど、追い詰められているのではないだろうか。


そうでもなければ、あの高潔で自尊心の高い美月が俺に縋るなど、有り得ない。


月に焦がれ、月を欲する姿を幾度となく目にした。


そしてあの時。


月に向かって静かに涙を流す美月に、俺は心を奪われた。


欲しくて。


美月の唯一が俺になればいいと、本気で思った。


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