わたしを光へ。
Ⅲ
三年生が引退した生徒会は、やっと引き継ぎが終わりそうだ。
しばらく大きな行事も無いから、放課後残ることはなくなるだろう。
「ね、あの人…」
HRも終わって、多くの人が教室から出て行く中、窓から外を見る数人のクラスメート。
ザワザワとしていて、ただ眺めている様ではない。
「どうしたの?」
「あ、櫻木さん。校門の所にね、北高の人がいるの」
その言葉に外を見ると、たしかに北高の制服を着た男が立っていた。
その姿は誰かを探しているように見える。
北高はここら辺で有名な不良高だ。
常栄の生徒には知り合いなどほとんどいないだろう。
だけど私にはその人に見覚えがあった。