わたしを光へ。



三年生が引退した生徒会は、やっと引き継ぎが終わりそうだ。


しばらく大きな行事も無いから、放課後残ることはなくなるだろう。


「ね、あの人…」


HRも終わって、多くの人が教室から出て行く中、窓から外を見る数人のクラスメート。


ザワザワとしていて、ただ眺めている様ではない。


「どうしたの?」


「あ、櫻木さん。校門の所にね、北高の人がいるの」


その言葉に外を見ると、たしかに北高の制服を着た男が立っていた。


その姿は誰かを探しているように見える。


北高はここら辺で有名な不良高だ。


常栄の生徒には知り合いなどほとんどいないだろう。


だけど私にはその人に見覚えがあった。


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