わたしを光へ。

倉庫に向かっていると、前を歩く洸は以前とは違う道に進んだ。


「この前は繁華街を突っ切ったけど、いつもは裏から入るんだ。変な喧嘩に巻き込まれないようにな」


確かに、繁華街を制服で歩くのは安全とは言えない。


人からすごく見られるし。


裏からと言ってもむしろ、その方が近いらしい。


すぐにあの大きな建物が見えた。


中に入るとまたあの温かい笑顔で迎えられる。


仲間でもない私に。ただ総長の彼女という女に。


それほど総長を慕い、信頼しているんだろうな。


二階の幹部室に入ると、中には小峰くんだけがいた。


「わ、久しぶり。あんまり来ないから洸と別れちゃったのかと思ったよ」


それから滝口くんと氷室くんも来て。


同じようなことを言われたが、美月は変わらず曖昧な笑みを浮かべていた。

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