わたしを光へ。
「ごめんなさい。ありがとう」
支えてくれた人から体を離すと、見たことのある顔だった。
よく氷室くんと話している人だ。
私のクラスにはいないから隣のクラスだろう。
「足挫いたんだろ?保健室行った方が良いよ」
氷室くんと違ってこの人は見た目不良そうじゃないけど。
「ああ、うん。でも大丈夫だよ。助けてくれてありがとう」
そう言って私に先ほど声をかけた人に要件を聞きに一歩足を踏み出したとき、
挫いた方の足が酷く痛んだ。
かすかに顔を歪めた私を見て、彼はやっぱりと言った風に笑った。
「痛いんだろ。連れてってやるから掴まれよ」
このまま一人で歩けなさそうだと思った私は、彼の言葉に甘えることにした。
途端、肩をぐいっと引っ張られ、あっという間に視線は天井へ。
所謂、お姫様抱っこというやつだ。
「ちょっと、まって、歩くからっ」
廊下を歩く人の視線が痛い。
「いいから黙ってろ」