わたしを光へ。
「綺麗…」
思わず口から溢れた言葉。
「だろ?日常の綺麗な瞬間を切り取った写真展なんだって」
次にあるのは夕方、堤防を歩く学生の影を撮った写真。
その次はタンポポの綿毛が空を飛んでいる写真。
さらにその次は住宅街に影が落ちかけている写真。
そして突き当たりの壁。
一際大きく飾ってある写真を見て、隣に立つ洸は美月が息を飲むのに気付いた。
洸はこの写真を見たとき、一番に美月の顔が浮かんだのだ。
「俺さ、美月が月を眺めているのを何度も見たことがあるんだ」
静かに洸が話し始める。
「月に焦がれて、感情を露わにしている美月を見て、惚れた。この女が欲しいと思った」