わたしを光へ。
目の前の写真は、地面から月を見上げる構図になっている。
それは、いつも私が見ている月と酷く似ていた。
「だから、この写真を美月に見せたいと思ったんだ」
洸の方を見ると、彼は優しく微笑んでいた。
彼と出会えて良かったと。
今、自然とそう思えた。その思いがふっと胸に落ちてきた。
「…ありがとう」
この感情を何と表したらいいのか分からない。
嬉しいとか、恥ずかしいとか、そんな陳腐な言葉では表現できない。したくない。
そんないろんな思いが詰まった美月の呟きは、洸の優しさによって、返事が返ってくることはなかった。