わたしを光へ。
「じゃあもしかして、一ヶ月くらい前に私を見ていたのも洸?」
会場を出て、よく晴れた外を二人で歩きながら話しかける。
あの日、月を見て不意に涙が溢れたあの時。
私を見ていたあの人は、確かに背格好は洸に似ていた。
「あ〜…、気付いてた?」
と、苦笑いをする。
「ビックリしたよ、ほんと。しかも次の日美月落ちてくるし。正直チャンスだと思ったね」
泣いていたことに触れないのはきっと、彼の優しさ。
私はそのチャンスに、まんまとつけ込まれてしまった訳だ。
「洸のあの瞳は、私にしか見せないで」
真っ直ぐで熱くて、自分の中の全てを揺るがす。
あんな瞳、見つめられたら錯覚してしまう。