わたしを光へ。
貴方がいれば、もう何もいらないとさえ思ってしまう。
櫻木美月を捨てることの罪悪感からも、
ずっと櫻木美月を演じることの虚無感からも。
「洸が私を、解放してくれるんでしょう…?」
美月は縋るように洸を見つめる。
美月が洸に堕ちた瞬間。
ずっと望んでいたその瞬間に、洸は自分の体が熱く震え上がるのを感じた。
やっと、この手に堕ちた。
誰も寄せ付けないほどの高みにあった高潔な魂が、自分のもとに。
「ああ、安心しろ。美月は美月でいい」
無条件で私を認めて、満たして、愛してくれる彼の存在は唯一無二。
彼がいればそれだけで良かったのに。
私はそれ以上望んでいないのに。
どうして現実はこんなにも残酷なのか。