その視界を彩るもの
* * *
夢を見た気がする。けれど、それは当のあたしには関係の無いもので。
初めて目にするそれらに驚きを覚えたけれど、その「夢」に出ていたのが誰なのかは不思議と直ぐに理解した。
イサゾーと、その家族なんじゃないかって。
幸せそうに笑うお父さんにお母さん、そしてイサゾーと妹ちゃん。
その光景を目にして暫くは、何の障害もなく幸せそうな表情で互いを見つめていた家族。
けれど、でも、確実に。
コマ送りのような状況で、お母さんの瞳にお父さんに対する疑心が芽生え始めて。
そして遂に、お母さんだけがお父さんに背を向けてしまった。しかしながらその眸は酷く愛しげに子どもたちを見つめていて。
そのことを露知らないイサゾーと妹ちゃん。
暫く経つと、イサゾーが母親の瞳に何か感情を抱き始める。
そしてゆっくりと、でも、確実に。イサゾーもお父さんに背を向けてしまった。
そんな中でも、妹ちゃんだけはお父さんを何の疑いも無く見つめていて。
暫くはその状態が続いた。コマ送りの中でもその、正直首を傾げたくなる構図がずっと。
そして一番の長さを以てその状況が「別」へと移ろうとき、鍵になったのはやはり妹ちゃんだった。
大きな瞳を最大限に見開いてお父さんを凝視し始めた妹ちゃん。
その表情が驚き一色に染められていることから、相当なショックやダメージを受けたことが窺い知れて。
泣きそうな顔をしてお父さんから目を逸らした彼女は、震える唇を噛み締めて別の方向へと足を動かす。ぎこちなくても、確実に。
その向かう先には―――、