その視界を彩るもの
そんな風に眉尻を下げて視線を上げたあたしに気付いたイサゾーは、漸く現状を呑みこんだらしく。
この空気を作り出したのは他でもないイサゾー自身の筈だったのに、まるでその表情が「しまった」と言っているように思えて腑に落ちなくて。
「ど、……どうしたの?」
『……』
「イサゾー」
正直あたしには何がなんだかさっぱり判らない。
俯き睫毛を伏せるイサゾーを斜め下から見つめるものの、幾ら待っても返答は貰えなくて。
掴まれた腕は離されること無く、静寂が急くように駆け抜けていく。
『……ウイ、あのさ』
憂いを帯びた声音が琥珀色の中でじわり、溶けていくのを感じた。