その視界を彩るもの
「………だからなに、って」
別に怒っている訳ではないけれど。普段から表情の起伏に欠けるらしいあたしはぶっきら棒に返すことしか出来ない。
まあ、アカネだって入学当初からつるんでいる訳だし、そんなあたしの性格を分かってはいると思う。
ファッション誌を奪還することは諦めた。
半分ほどモノの無くなった机に肘を突き立てたあたしは、頬杖を突きながら茶髪をアップにまとめているアカネを見据える。
残る面積の半分には、勿論メイク道具が散乱していた訳なのだけれど。
「合コンするから」
「は?」
―――思わず支えていた手のひらから顎がずり落ちる。
「……、合コンとか……」
至極面倒だ、と言わんばかりに吐き出すものの。
そんなあたしを認めたアカネの取り巻き―――まあ(たぶん)あたしとも友人だろうユカリとアキホも会話に便乗してくる。
「ぶっちゃけウイのためなんですけどー」
「そうそう。いつまでも非リアじゃ可哀相だし?彼氏探ししちゃおう的なー。ってかモチあたしもだけどー!」
ケラケラと笑みを浮かべそう口にする彼女たちを、げんなりとした視線で見詰めた。
なるほどね。もうこれは決定事項なワケだ。