その視界を彩るもの
* * *
そこまで話し終えたイサゾーは、今までの饒舌が嘘のように口を引き結んでしまった。
様子を窺うように視線を送るものの、そんなあたしにすら気付く気配はない。
だけれど、それは単に自らを落ち着けるための行動だったらしく―――
『本題はここから。なるべく私情は抜きにするけど、たぶん無理よ』
目を開きあたしをジっと見据えたイサゾーの眸の中に、闘志、いや……怨恨にも似た強い感情が現れたことを知る。
あたしは黙ってその視線を受けたままに頷いた。
けれど反論したいと思ったことが一つだけ。あたしはイサゾーの感じたことをそのままに聞きたいって、心の底から思っている。
だから、「私情を排除」なんて寧ろされたくなかった。