その視界を彩るもの
/だって胸糞悪いじゃん
―――そして放課後。所変わって某カラオケチェーン店にて。
「(つっまんな……)」
例えるならそう、死んだ魚の目。そんな感じ。
まごうことなくそんな表情を浮かべながら、異常なほど盛り上がる男女を見つめ烏龍茶をちびちび飲む。
頬を紅潮させ(あれ絶対チーク上塗りしてる)、きゃっきゃとはしゃぎながらマラスカを振るアカネ。
あたしらだけで来たときなんて、マラスカに触りもしなかった癖にねー。
―――と、そのとき。
「ウイちゃんってーの?可愛いよねー、マジタイプ」
「………」
「おーい、聞いてる?」
前触れ無く隣に席を下ろしたのは、所謂「ギャル男」な合コン相手のひとり。
まあ、相手として来た四人に関して言えば皆そんな感じだけれど。
なんであたしの名前知ってるんだ、なんて思いながら視線を上げると直ぐにユカリのそれと搗ち合う。
にやりと悪戯に微笑み親指を突き立てる彼女は、口ぱくで"Yeah"なんて。
余計なお世話、だっつーの。
「………、聞いてる聞いてる」
深く吐きたい溜め息を既の所で噛み殺しながら、あたしはいつも口にする台詞を吐き出した。