その視界を彩るもの
連れて来られたのは人通りの少ない校舎裏の小道付近。
あたしに背を向けて先導していた彼女たちは全部で5人。
逃げるんじゃないかって気が気じゃないらしく、何度も振り返っては存在を確かめられる。
それなら誰か後ろに付けばいいのに……。
目を細めて彼女らの背中を見つめていれば、漸く目的の場所に辿りついたらしく一番先を歩いていた子が鋭い瞳を携えて振り返った。
どうやらその子がこのグループのリーダーらしい。
「アンタ最近マジで調子乗ってるよね。ホントなんなの?」
「鬱陶しいんだけど!」
「はやく柳くんの前から消えろよ!」
リーダーの発言を皮切りに、周りに侍っていた子たちも便乗して突っ掛かってくる。
ほらね、ほらほら。
毎日同じことの繰り返し。
呼び出す女は違うにしても、どうして皆こう馬鹿みたいな真似事しか出来ないわけ?
「……残念だけど消えてやんない。それにあたしに言うのは御門違いなんじゃないの?」
「ハァ?」
「なに言っちゃってんの?アンタ何様のつもりなのよ!」
「じゃあそのまま同じことイサゾーに言ってみなよ。アイツがあたしに直接"離れろ"って言うんならしょうがないけど、なんで関係無いアンタたちに言われて従わなきゃなんないの?」
「ッ、アンタ自分でなに言ってんのかわかってんの!?柳くんの彼女がアンタなんて、誰も認めてないんだからな!!」
「……別に周りに認められなくたって痛くも痒くもないから」
あたしの返答を重ねるにつれて彼女たちが激昂していっていることは覚ったけれど、あたしだっていつまでも黙ってなんか居てやらない。
梢ちゃんと話せて良かった。それが起爆剤になった。