その視界を彩るもの




考えてみればそうなのかもしれない。

だって、普通人気の読モの彼女だってだけでここまでする必要ある?

だからイサゾーだってそこまで過保護にはならなかった。

……でも「あたし」っていう人間が他の誰かによってマイナスイメージで形成されていたなら話は別だ。


しかもその発信源が日頃つるんでいたアカネたち3人なら、信憑性だって増すだろう。




「ウ、ウチらだってこんなに大きく騒がれるなんて思ってなかったんだ!」

「……」

「ただちょっと初を困らせられたら充分だったのに、こんなことになるなんて思わなかった……」




青い顔を晒して俯くアカネ。

この状況をつくったのは自分自身だけど、この行きすぎた結果に後悔しているらしい。





「……アカネは、イサゾーのことが好きなんだよね?」

「……」

「じゃあ聞くけど。好きなら相手困らせたら駄目じゃないの?こんなふうに騒ぎ立てて、"柳くんはサイアクな女にたぶらかされるような男"だってレッテル貼られたイサゾーのこと一度でも考えたりした?してないでしょ?」




話していく内に自分でも激昂していくのがわかる。

あたしは自分で気付いていなかった。


あたし自身が「サイアクな女」って吹聴された事実よりも、イサゾーの人気暴落を招いたアカネへの怒りが沸き起こって仕方なかったこと。





「イサゾーのことが本当に好きならさぁッ!陰でコソコソしてないで正面からぶつかって行けばいいじゃんか!アカネの馬鹿野郎が!!」


このとき初めて、大声で友人だと思っていた相手に感情をぶつけた気がした。



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