その視界を彩るもの
激しく肩を上下させて真正面に居るアカネを睨みつける。
言いたいことは全部言った。
それにずっと一緒に居たアカネとユカリ、それにアキホの本心だって解った。
これ以上この場所で粘る必要だって、もう無いと判った。
「……じゃあ。もう会うことは無いと思うから安心してよ」
「は?初、」
「あたしこの学校辞めるから。そんなにアカネたちに嫌われてたのは知らなかったけど、ならそんな奴の顔なんてもう見たくないっしょ?」
努めて口角を上げてボロを出さないようにする。
嗚呼、嗚呼。もう本当にイサゾーが居てくれて良かった。
今日はどんなことを話そう。明日はどんな場所に行こう。
自分の中に「完全なる味方」の存在が居ることが、こんなにも心強いんだって知らなかった。
もしあの日イサゾーと知り合って無かったら。
それでもしもこんな状況に直面していたら、あたしは一体どうなってたんだろう。
「………あたしは今まで楽しかったよ。アカネたちと出逢えて良かった。忘れてくれて構わないから、とりあえず元気で居てくれればそれで」
想像も付かないけど、きっとアカネに対してこんなふうに笑って言葉を向けることは出来なかったんじゃないかと思う。
邪気を取っ払って笑んで言葉をおとしたあたしを見て、アカネは大きく目を見張る。